伝統工芸品(でんとうこうげいひん)

基本情報

伝統工芸品(でんとうこうげいひん)は、焼物・染色・織物・木工・石工など工芸的手法で作られた製品
「民芸品(みんげいひん)」とも称される
経済産業大臣指定の「伝統的工芸品」:17品目(2013年(皇紀2673)平成25年4月現在)

経済産業大臣指定17品目ポイントは以下をクリック
青ラベルは、伝統工芸品と京都市伝統産業・緑ラベルは、伝統工芸品指定

西陣織(にしじんおり)(NishijinOri)

  • 先に糸染めした糸を使い紋様を織り出す高級先染紋織物
  • 平安時代末期_秦氏ゆかりの織り手集団が、大舎人町(現在の猪熊通下長者町附近)に移り住み、「大舎人座」ができ、宋の綾織技法を模倣した唐綾を、貴族の装飾用に製作していた
  • 鎌倉時代「大舎人綾」や「大宮絹」が名産となる
  • 江戸時代 徳川政権は、京都の都市産業にも手厚い保護を行う
    特に、高機を7000台保有するなど西陣織への保護などで京都は大きく復興した
  • 明治時代初期 佐倉常七・井上伊兵衛らがフランス・リヨンからジャガード機械織機を輸入して、絹織物の先進地となる
    荒木小平が国産のジャガード機械織機を製作し、量産を可能にする
  • 【用途】能装束・横綱の化粧まわし、南座など全国の大劇場の緞帳
  • 【名前の由来】「西陣」とは、応仁の乱で、山名宗全らの西軍が、本陣を置いたことから名前が付けられた
  • 「東海道中膝栗毛」には「商人のよき衣きたるは他国と異にして、京の着だをれの名はますます西陣の織元よりいで、染いろの花やぎたるは堀川の水に清く」と記されている

京鹿の子絞(きょうかのこしぼり)(KyoukanoKoshibori)

  • 絞染め(しぼりぞめ)は、着物や帯揚(おびあげ)などに使われる染色技法
    絞り染めの括り(くくり)の立体感のある模様が、子鹿の斑点に似ているところから「鹿の子絞り」と称せられる
  • 「日本書紀」にも絞染めがみられる
  • 【京鹿の子絞の技法】 
    <絞り技法>疋田絞(ひつたしぼり)、一目絞(ひとめしぼり)など
    <染分け技法>桶絞、帽子絞など
    <手絡(てがら)>女性の髷(まげ)の飾りに用いられる
  • 【辻が花染】
    辻が花染(つじがはなぞめ)は、室町時代から桃山時代末期にかけて盛んだった模様染め

京友禅(きょうゆうぜん)(KyouYuuzen)

  • 京友禅(きょうゆうぜん)は、模様染めの染織工芸の一つ
  • 手描友禅は、江戸時代中期に、扇絵師 宮崎友禅斉によるデザインで大流行する
  • 型友禅は、明治時代初期に、広瀬治助によって開発され、模様を写し取った型紙(かたがみ)を使って量産が行われるようになった
  • 写し友禅染めは、明治時代に京友禅の中興の祖 廣瀬治助により化学染料と糊で色糊を作り、型紙によって友禅模様を写し染める「写し友禅染め」が開発される
    写し友禅染めにより量産が可能になり、友禅着物が飛躍的に普及する

京小紋(きょうこもん)(Kyo Komon)

  • 京小紋(きょうこもん)は、小さな文様を型染めする小紋染(こもんぞめ)で、和服などに多く用いられている伝統工芸品
  • 小紋を染めた麻袴が武士の正装となり、町人文化の自由で粋な感覚で流行する

京黒紋付染(きょうくろもんつきぞめ)

京黒紋付染は、婚礼のときに着る黒留袖や、葬儀のときに着る喪服などの礼服などで
紋章が染め抜かれ、黒色に染められる伝統技術

京繍(京縫)(きょうぬい)(KyouNui)

  • 京繍(きょうぬい)は、「糸で描く絵画」と称されるほど精緻な技法が用いられる刺繍(ししゅう)
  • 基本的な技法は約15種類、その他合わせて約30種類ほどの技法がある
    一本の針と絹糸、金銀糸、太さと縒り(より)の異なる多数の糸から、すべて手作業で模様が縫いだされる
  • 平安時代の十二単、室町時代の能装束
  • <織部司(おりべのつかさ)>平安京において刺繍技術工が集められたところを「織部司」と称する
  • <縫箔(ぬいはく)>刺繍と金銀箔模様を併用したもの
    小袖(こそで)、能装束、婚礼の打掛けなどに用いられる

京くみひも(きょうくみひも)(KyouKumihimo)

  • 京くみひも(きょうくみひも)は、数十本の糸を組上げて一本の紐に仕立てたもの
  • 奈良時代に中国 唐から伝えられ、平安時代初期から、神具・仏具、皇室や貴族では、羽織の紐・帯締(おびじめ)などや茶道の袋物、書道の留め具、武士の鎧兜の大部分・刀の下げ緒(さげお)にも用いられてきた

京焼(きょうやき)・清水焼(きよみずやき)(KyouYaki , KiyomizuYaki)

  • 京都で生産される陶磁器を総称して「京焼(きょうやき)」と称される
  • 清水焼(きよみずやき)は、京焼の代表的な陶磁器
  • 古清水(こきよみず)野々村仁清(ののむらにんせい)により赤色系の上絵付を施した御室焼の色絵陶器(いろえとうき)が完成される
  • 野々村仁清(ののむらにんせい)より技法を学んだ尾形乾山、尾形光琳(おがたこうりん)が出て、京焼独特の優雅な色絵様式を完成させ、優れた作品を多く残し、清水焼の大衆化とブランド化に貢献する
  • 奥田頴川(おくだえいせん)が、中国明代の磁器を手本に、古染付(こそめつけ)・赤絵(あかえ)に独自性を持たせたことで、清水焼に磁器が取り入れられて京焼の主流となる
  • 奥田頴川の弟子の青木木米(あおきもくべい)が、日本独自の気品豊かな煎茶器を創り上げる
  • ドイツのゴットフリード・ワグネル博士を招き、陶磁器や七宝焼の釉薬(ゆうやく)など
    ヨーロッパの化学的、工業的な製陶法が導入された
  • 【京焼の主な陶芸作家】
    <本阿弥光悦>
    <野々村仁清(ののむらにんせい)>丹波 美山の出身:御室に窯を開き「古清水」と称される華麗な色絵陶器を完成させる
    <尾形乾山>
     呉服商雁金屋の三男、尾形光琳の6歳下の弟
     野々村仁清から直接技法を学び、優れた作品を多く残す
     二条綱平に、鳴滝泉谷の山荘を与えられそこに窯を開く
     茶人などの注文に応じて独創性のある色彩感覚の絶妙な作品を作り上げた
    <奥田頴川(おくだえいせん)>
     中国明代の磁器を手本に京焼として初めて古染付・赤絵など色彩磁器の焼成を行う
    <青木木米(あおきもくべい)>
     主に煎茶器を制作し、後に青蓮院宮粟田御所の御用焼物師となった
    <北大路魯山人>

京漆器(きょうしっき)(Kyo Shikki)

工芸品分類:漆器
主な製品:茶道具、食器、家具、祝儀調度品など
別称:京蒔絵、京塗(きょうぬり)

  • <茶道具>棗(なつめ)、炉縁、茶棚、四方盆、香合、じきろ
  • <食器>お椀、重箱、縁高、御膳、盆、菓子器
  • <祝儀調度品>広蓋、硯蓋、進物盆、文庫、免状箱、硯箱、祝膳
  • <家具調度品>箪笥、飾り棚、座卓飾、小箱、花器、パネル
  • 加飾は、蒔絵、螺鈿(らでん)、青貝(あおがい)に大別される

京指物(きょうさしもの)(Kyo Sashimono)

  • 分類:木工品
  • 指物(さしもの)は、金釘などの接合道具を使わずに、木板を組合せたり、ホゾに差し込んだりして作られた木工芸の一つ
  • 京指物(きょうさしもの)は、京箪笥(きょうたんす)・棚・机・椅子・下駄・酒器・茶道具・硯箱・照明用具などに使われる
  • 名前の由来は、「物指し」を用いて細工することから由来しているといわれる
  • 指物師は、室町時代以降に、建具師(たてぐし)、家大工(いえだいく)から専門家として独立した家具職人
  • <千家十職(せんけじゅっしょく)>千家の中興の祖といわれる宗家 千宗旦(せんのそうたん)が、自分好みの茶道具を作らせるために塗り師・指物師などの職人を指導したことで生まれた、茶道に関わりの深い10の職業
     指物師:駒沢利斎(こまざわりさい)

京仏壇(きょうぶつだん)

  • 工芸品分類:仏壇・仏具
  • 京都で生産される仏壇、仏具の約70%が寺院用、約30%が家庭用
  • 全国の寺院用仏具の約80%が京都で生産されている
  • 大本山のような大寺院では、寺内町(じないちょう)を形成し、仏壇仏具の老舗も多い

京仏具(きょうぶつぐ)(Kyo Bustugu)

  • 工芸品分類:仏壇・仏具
  • 仏具とは、仏事に用いられるあらゆる道具
     仏像、宮殿、厨子、香炉、梵鐘、燭台など数百種類
     各宗派に、それぞれの意匠や特別の仕様がある

京石工芸品(きょういしこうげいひん)

  • 工芸品分類:石工品・貴石細工
  • 京石工芸品は、仏教や茶道から深い影響を受け、手づくりの高い石工技術と、鋭い美的感覚が養われ、石仏、石灯籠、石鳥居、手水鉢、層塔(そとう)、鉢物、臼石、彫刻物など
    様々な製品が生み出されている
  • 1人の石工(いしく)により、全ての工程を手がけられる
  • 京都では、比叡山山麓や、北白川の里から「白川石」などの良質の花崗岩(かこうがん)が切り出され、材料にも恵まれていた
  • <嵐山花灯路>京焼・清水焼、京銘竹、北山杉磨丸太、京石工芸の露地行灯が、約5.2kmの散策路を演出する
  • <東山花灯路>京焼・清水焼、京銘竹、北山杉磨丸太、京石工芸、金属工芸の5種類の露地行灯約2,400基が、東山山麓の、北は青蓮院から知恩院、円山公園、八坂神社を通って南は清水寺までの散策路約4.6kmに設置される

京人形(きょうにんぎょう)(KyouNingyou)

  • 分類:人形
  • 京人形(きょうにんぎょう)は、京都において伝統的に制作されてきた着付人形の総称
  • 平安時代の貴族の姫君の遊び道具として愛玩されてきて、江戸時代には京の土産品としても重宝された
  • 人形の制作は、京都の職人が制作工程ごとに細分化されて担っている
  • 京人形は、平安時代の貴族の子供たちの遊び道具であった雛(ひな)が由来
  • <伏見人形(ふしみにんぎょう)>
    素焼きの人形で、日本各地にある土人形や郷土玩具の原型となった
    「稲荷人形」「深草人形」「伏見焼」「深草焼」「稲荷焼」とも称される
    桃山時代頃から、伏見稲荷大社の門前で売られていた
    初午の日には、伏見稲荷大社を参拝し、参道で売られている布袋尊の人形を買いもとめ、火難除けとして、おくどさん(釜戸)の近くの荒神を祀る棚「荒神棚(こうじんだな)」に祀られる(初午の稲荷詣)
  • 【所蔵】代々皇女が入寺してきた尼門跡寺院などにおいて、優れた京人形が残されてきている
    宝鏡寺(人形寺)・霊鑑寺・曇華院・光照院・大聖寺・三時知恩寺・京都国立博物館

京扇子(きょうせんす)(Kyo Sensu)

  • 工芸品分類:その他工芸品
  • 主な製品:招涼持ち扇(しょうりょうもちおうぎ)、儀式扇、芸事扇、飾り扇など
  • 【特徴】
    京扇子は、夏の涼を取る目的よりも、貴族の象徴として、儀礼的に用いられていた
    京扇子は、表面的な美しさだけではなく、風合い・持ち味等、実用品としての様々な「美」を持ち、非常に多くの種類があり、形状・素材など用途に応じた美のかたちが追求されている
    金銀箔、漆、蒔絵などが施されたものは、高級美術品として珍重される
    素材、製法によって板扇(いたおうぎ)と貼扇(はりおうぎ)に分けられ、貼扇はさらに紙扇と絹扇に分けられる
  • 【種類】
    <中啓(ちゅうけい)(末広)>
    親骨が要よりも外側に反った形をしており、折りたたんだ時も扇の上端が広がっている
    「中ば(半ば)啓いている(開いている)」ということから「中啓」と名付けられた
    公家では、檜扇に次ぐものとされ、儀礼に用いられた
    江戸時代の大名家では、直垂・布衣・大紋着用のときの持ち物とされた
    寺院での儀式にも用いられている。能、狂言、歌舞伎にも用いられる
  • 【その他】
    <三船祭>5月第三日曜日:嵐山で営まれる車折神社の祭礼
     大堰川で、船から和歌などを書いた美しい扇が流される
    <事始め>12月13日
    花街や室町、西陣の旧家などで、この日から正月を迎える準備を始められる
    芸子・舞妓さんたちは「今年もよろしゅうおたのもうします」と家元に挨拶をし、ご祝儀の舞扇を受けて精進を誓う
    <扇塚>五条大橋の西側の畔
    「御影堂(みえどう)」と称される時宗 新善光寺があり、ここで「御影堂扇」と称される扇が作られていた
    付近には扇屋が多く建ち並んでいたといわれる

京うちわ(Kyou Uchiwa)

  • 工芸品分類:その他工芸品、別称:都うちわ
  • 京うちわは、宮中でも用いられ、極めて優美な絵画が画かれてきた
  • 京うちわは、地紙の中に多くの細い竹骨をもつ「朝鮮うちわ」の流れを汲む
  • うちわ面(地紙面)と把手(取っ手)が別に作られる方法で、「挿柄」の構造になっている
  • 京うちわは、竹の産地であった伏見深草の名産品だった
  • 南北朝時代
    中国 明や朝鮮沿岸地で海賊行為をしていた倭寇(わこう)により、
    朝鮮うちわが紀州から大和を経て、貴族の別荘地 伏見深草に伝わったのが由来
    伏見深草は、竹の産地でもあった

京表具(きょうひょうぐ)(KyouHyougu)

  • 分類:その他工芸品
  • 用途:掛軸(かけじく)・襖(ふすま)・額・屏風(びょうぶ)・巻物(まきもの)・画帖(がちょう)・衝立(ついたて)など
  • 京表具(きょうひょうぐ)は、布や紙などを張ることによって仕立てられた巻物・掛軸・屏風・襖・衝立・額・画帖などを仕立てることも「表具」と称する
  • 経巻(お経)や書画を、鑑賞に適するように裂地(きれじ)や紙を貼って補強するために、仏教とともに伝えられる
    その後、保存や鑑賞のために、書画などに布地や紙などで縁取や裏打ち等をして掛軸や額に仕立てたり、屏風(びょうぶ)や衝立(ついたて)、襖(ふすま)にする「表装」に発展する
  • <千家十職>茶道に関わりの深い10の職業
    表具師 奥村吉兵衛

【経緯】

 794年(皇紀1454)延暦13年
 新しい都の造営は、京都の伝統工芸に膨大な官需、特需を生んだ
 大内裏の中の官営工場で優秀な工人を生み出す

 平安時代中期
 905年(皇紀1565)延喜5年
 律令の施行細則を集大成した「延喜式」が制定され、その中で、伝統工芸に関することも詳細に記されている

 <内匠寮(たくみりょう)>
 調度の作製や儀式の時の装飾を司る官庁
 「内」は、宮廷内部の需要に応じることを意味する
 ここには、
 綿・綾・羅の織り手20人
 画工、細工、金銀工、玉石帯、鋼鉄、鋳工、造船、屏風、漆塗り、轆轤(ろくろ)、皮革、柳箱工など15業種、
120人の工人がいたとされる

 <図書寮(ずしょりょう)>
 仏教経典の書写、製本、造紙手、造筆手、造墨手の技術指導者もいた

 <別所(べっしょ)紙屋院>
 紙漉き(かみすき)のための紙戸(しこ)50戸があった
 麻や雁皮(がんぴ)などが原料で紙は非常に貴重なもので、天皇の綸旨(りんじ)、写経、宮廷の公私文書に使われる
 延喜式では、年間2万枚の紙の納入が義務付けられていた

 平安時代末期あたりから
 律令体制の崩壊にともない、朝廷が工房を維持することが難しくなっていく
 織工たちは、大舎人町などに移り住み、大宮絹を生産した

 1974年(皇紀2634)昭和49年5月
 「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」が制定される
【京都の伝統工芸品】
 京都には、経済産業大臣指定の「伝統的工芸品」が17品目ある
 全国では、207品目が指定されている  (2013年(皇紀2673)平成25年4月現在)

工芸品工芸品工芸品
西陣織(織物)京鹿の子絞(染色品)京友禅(染色品)
京小紋(染色品)京黒紋付染(染色品)京繍(その他繊維製品)
京くみひも(その他繊維製品)京焼・清水焼(陶磁器)京漆器(漆器)
京指物(木工品)京仏壇(仏壇・仏具)京仏具(仏壇・仏具)
京石工芸品(石工品・貴石細工)京人形(人形)京扇子(その他工芸品)
京うちわ(その他工芸品)京表具(その他工芸品)

その他の京都の伝統工芸品

京象嵌(きょうぞうがん)(KyouZougan)

  • 京象嵌(きょうぞうがん)は、金属に金や銀、赤銅を嵌め(はめ)込んだ模様で装飾した工芸品
  • 京象嵌は、地金(じがね)に細かい布目(ぬのめ)の溝を彫り、金・銀・銅などを槌で打ち込む布目象嵌が主流
  • ペンダント、帯留め、タイピン、高級バッジなどの小物アクセサリから、重厚繊細な花瓶まで用途は広い
  • 素材は、金属だけではなく、彩色した木材や骨片、貝殻なども用いられる
  • 象嵌の技術は、シリアのダマスカスで生まれ、シルクロードを経て、日本に伝わる
  • 刃剣の鍔(つば)、甲冑(かっちゅう)、鏡や根付、文箱、重箱などに豪華な象嵌を施すのがはやった

京竹工芸品(きょうちくこうげいひん)

  • 京都は、竹の産地として風土条件に恵まれ、竹の都
     孟宗竹(もうそうちく)、真竹(まだけ)、破竹(はちく)
     京都御所の清凉殿(せいりょうでん)の呉竹(くれたけ)、河竹(かわたけ)
  • <京簾>高級品の「御簾(みす)」は京都だけで生産されている

京刃物(きょうはもの)

  • 京刃物の種類:庖丁、鋏、鋸、ナタ、鎌、彫刻刀など
  • 「古事記」や「日本書記」によると、古墳時代に刀剣が伝来してきて、平安京遷都により、優秀な刀工が京都に移り住み、官需により京刃物が発展する
  • <料理包丁>出刃(でば)、柳刃(やなぎば)、菜切(なきり)、鱧(はも)の骨切(ほねきり)、鮪切包丁(まぐろきりほうちょう)

截金(きりかね)(Kirikane)

  • 截金(きりかね)は、金箔・銀箔・プラチナ箔などで、さまざまな文様を描き出す技法
  • 別称:切金(きりかね)・細金(ほそがね)
  • 截金(きりかね)は、金箔・銀箔・プラチナ箔を、細い線や三角・四角・眉形などの細片に切り、数枚焼き合わせた截箔(きりはく)を、筆と接着剤を用いて貼り付け、さまざまな文様を描き出す伝統技法
  • 仏像・仏画の衣や装身具を荘厳するために発達してきた
  • 中国 唐から伝わり、日本だけで伝承されている

黒谷和紙(くろたにわし)(Kurotani Washi)

  • 京都府指定無形文化財
  • 主な製品:楮紙(こうぞがみ)・半紙・便箋用紙・特厚美術紙・民芸紙・版画用紙・札紙・はがき・書道用紙・染紙・雲龍紙・文庫紙・封筒原紙など
    黒谷和紙(くろたにわし)は、伝統的な古法の手漉きにより作られる、純粋な手漉き和紙
  • 黒谷の紙郷において、平家の落武者などが、子孫へ技を残すために始めたものといわれている

胡粉(ごふん)

  • 胡粉(ごふん)は、白い顔料の一つ
  • 蛤(はまぐり)などの貝殻から作られる
  • 日本画や日本人形の絵付けや、最近ではネイルにも用いられる白い絵具
  • かつて、中国の西方を意味する胡から伝えられたことから「胡粉」と称される
  • <用途>日本画の重要な白い絵具
    混色させて淡い色を作ったり、盛り上げなどや、最終的な発色を助ける下塗りなどにも用いられる
    日本人形や能面、神社仏閣の壁画や天井画などにも用いられる
  • <貝殻>
    白色度の高いものには、蛤(はまぐり)が用いられる
    牡蠣(かき)、帆立(ほたて)の貝殻も加工がしやすく用いられる
  • <胡粉ネイル>鮮やかな色彩をもつ
    刺激臭がなく、通気性に優れ、速乾性があり、軽い塗り感になる
    水溶性なので、除光液ではなく、消毒用アルコールなどで落とすことができる

七宝焼(しっぽうやき)

  • 七宝焼(しっぽうやき)とは金属工芸の一種で伝統工芸技法の一つ
  • 金・銀・銅・鉄などの金属製に、クリスタルや鉱物質などを溶かしてガラス様・エナメル様の美しい彩色が施される
  • 【ゆかり】
  • <並河靖之>多様な色彩と、深く透き通った艶が特徴
    難しいとされた黒色透明釉や、筆のタッチのような繊細な植線づかいを極め、金銀線を用いた有線七宝の技法により、あでやかな花鳥や叙情的な風景を描きだした
  • <ワグネル博士>1877年(皇紀2537)明治10年の1年間、七宝焼の研究に専念する
    その成果で、第2回 内国勧業博覧会で最優等賞を受賞する
    その後、七宝の不透明釉に替わる透明釉を開発し、京焼・清水焼などの七宝に鮮明な色彩を導入した

工芸品工芸品工芸品
京象嵌京竹工芸品京刃物
截金黒谷和紙胡粉
七宝焼神祇調度装束ちりめん
砥石花簪(はなかんざし)蒔絵

京都市の伝統産業(でんとうさんぎょう)

基本情報

「伝統産業」とは、「京都市伝統産業活性化推進条例」の第2条で定義されている
伝統的な技術および技法を用いて、日本の伝統的な文化および生活様式に密接に結び付いている製品や、その他の物を作り出す産業のうち、京都市内において企画がされ、かつ、その主要な工程が経られるものをいう
品目数:73 (2013年(皇紀2673)平成25年4月現在)

【経緯】

 2005年平成17年10月15日
 「京都市伝統産業活性化推進条例」が施行される

 12月16日
 「京都市伝統産業活性化推進条例」に基づき、72品目の伝統産業が決められた

 2007年(皇紀2667)平成19年11月19日
 京都市伝統産業活性化推進審議会により、「京たたみ」が伝統産業に追加される
【京都市の伝統産業】
 73品目が京都市の伝統産業に指定されている (2013年(皇紀2673)平成25年4月現在)

産業名産業名産業名
額看板菓子木型かつら
金網細工京唐紙かるた
きせる北山丸太京印章
京うちわ京菓子京鹿の子絞
京瓦京くみひも京黒紋付染
京こま京小紋京指物
京真田紐京漆器京すだれ
京石工芸品扇子京象嵌
京たたみ京足袋京竹工芸品
京漬物京つげぐし京葛籠
京陶人形京人形京繍
京の色紙短冊和本帖京刃物京版画
京表具京袋物京房ひも・撚ひも
京仏具京仏壇京丸うちわ
京銘竹京焼・清水焼京料理
京友禅京弓京和傘
京都の金属工芸品截金薫香
工芸菓子嵯峨面尺八
神祇調度装束三味線珠数
調べ緒清酒造園
茶筒提燈伝統建築
西陣織念珠玉能面
花かんざし帆布製カバン伏見人形
邦楽器絃結納飾・水引工芸
和蝋燭

※京真田紐(きょうさなだひも)京葛籠(きょうつづら)薫香(くんこう)